きみの声がきこえない
あたしは鞄を放って、
屋上の真ん中で寝そべった。
コンクリートから伝わる、ざらざらした感触。
日に当てられて、じんわりあったかくて気持ちがいい。
おまけに空は晴天だ。
あたしは解放されたように、思い切り伸びをした。
あたしの悩みには、形がない。
客観的に、
あたしは比較的恵まれている方の人間だと思う。
体も健康だし、家族も元気だし、
友達関係はそれなりに良好だし、
欲しいものがあれば、大体は手に入る。
それでも、なぜか、
漠然とモヤモヤした気持ちがあたしを支配してる。