きみの声がきこえない
キッチンから香ばしいコーヒーの香りが漂ってきた。
思わず秀くんの手元を覗きこむ。
エスプレッソコーヒーをカップに注いで、
上からココアパウダーをかける。
そしてミルクピッチャーをうまくじぐざく動かすと、
そこにツリーが出来る。
いわゆる、
デザインカプチーノって奴だ。
「わぁ」
思わず感嘆の声をあげるあたしに、
秀くんは微笑む。
「写メっていい?」
「前も撮ってなかった?」
「前のはクマだったもん」
二人椅子に座って、カップに口をつけた。
おいしい。