きみの声がきこえない
「もし誘いに乗れば、健は喜ぶ、友里は泣く。
誘いを断れば、友里は喜ぶ、健は泣く。
どちらにしてもぎくしゃくする。
それを恐れているんだ、お前は!」
決めポーズかのように、びしっと指を指された。
「自分を守るために悩んでいるんだよ、お前は」
陽介の言葉がぐさぐさと胸に刺さる。
くやしいけど、でも、
当たってるから言い返せない…。
陽介は歩き回りながら続けた。
「逆に友里って子がよ、
お前が自分に気を使って誘いを断ったなんて知ったら、それはそれでぎくしゃくするだろ?」
「そうかなぁ…」
「さっさと告らせて、フッちまえ」
「そんな簡単に…」
「お前もいやってほどきいてきただろ?
みんな、自分のことが一番かわいいんだよ。誰かを傷つけずに生きるってなかなか難しいぜ?」