きみの声がきこえない
―…

「ねぇいつもどうやって鍵を手に入れてくるの?」

「まぁ、いーじゃん。あーっもう、あっちーなー」


確かにもうすっかり夏らしくなってきた。

陽介が鬱陶しそうにネクタイを乱暴にゆるめた。


「ありがとう」

「いいよ。気にすんなよ」


陽介は全部分かってるからといった風に、

笑ってくれた。


俺を呼べなんて

ただのかっこつけか、社交辞令かと思ってたよ。


本当に来てくれた。

あたしのために。


胸がうずうずした。
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