きみの声がきこえない

あたし今、何考えてた?

陽介のことが……って。


もしかして、

陽介はあたしの気持ちを読んで、わざとはぐらかしたの?


急に足元から恥ずかしさが湧き上がってきた。

何考えてたんだろう、あたし…。


恥ずかしい!


「あたし、やっぱり授業戻るね」

「…おう」

「ありがとね、陽介」


そう言い残して、

あたしはその場を逃げるように離れた。


最悪、あたし。


でも。

立ち入り禁止のドアを振り返る。


あの時思ったことは、嘘じゃない気がする。

でも分からないよ。



好きってどういうこと?


この気持ちは何?

好きって、何?
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