きみの声がきこえない
「大丈夫。サンキュ」
「うん……」
「それにしても、何かメルヘンな家だな。
落ちつかねー」
陽介が部屋を見渡す。
花柄のクッションや、レースのカーテン。
「お母さんの趣味なの」
あたしも実は若干落ちつかないんだと付け足して、
あたしは薬箱をパントリーに戻した。
そして、ソファに座っている陽介の隣に腰掛けた。
「ほんと、陽介見てるとハラハラする」
「危ない男ほどいい男って?」
この期に及んでまだふざけるか。