きみの声がきこえない
「あたし、陽介が心配だよ。
どうでもよくなんかないよ……」
「……」
「ねぇ、ずっと不思議に思ってたの。
なぜか、あたしには陽介の心の声だけきこえないの。他の人の声はきこえるのに。
それって、陽介が声をききとられないように、何かしてるんじゃないの?そうとしか思えない」
あたしは陽介の手に自分の手を重ねた。
「あたし陽介があたしの苦しみに気付いてくれて、理解してくれて、嬉しかったの。
あたし、陽介の役に立てない?
何か苦しんでることがあるんなら、何でも…」
「……お前に何が分かんだよ」
「え?」