きみの声がきこえない
あたしに気付くと、
陽介はあたしに背を向けた。
「何しにきたんだよ」
「だって……」
「これ以上、俺の中に入ってこないでくれよ」
思わずあたしも言い返した。
「あたしのこと呼んだくせに」
泣きそうになって呼んだくせに。
「陽介はずるいよ。
散々あたしの気持ち見透かしておいて、自分の気持ちは見せないなんて」
「うるせぇな!俺は人に好かれる資格なんてねぇんだよ」
「資格って何!?陽介の言ってること、意味分かんない!」
「あー分かんなくていいよ!
お前といると楽な方へ流されそうになんだよ!俺は、幸せになっちゃいけねぇんだよ」