きみの声がきこえない

二年前の事故。

あたしは想像の中でしかそれを思い浮かべることはできない。


今陽介を苦しめているあの日のことを。

陽介が永遠に取り戻せない、圭司くんの笑顔を。

楽しかった日々を。



陽介の痛みを完全に理解することなんて、

きっとできないんだ。


でも。


「ねぇ陽介。苦しんだじゃない。陽介も」


誰よりも。


「ずっと苦しんできたじゃない」


傷ついてきた。
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