きみの声がきこえない
とうとう雨が降り出した。
大粒の雨が、あたしたちを強く打った。
ねぇ陽介。
「陽介。ごめんね……、
気付いてあげられなくて……ごめん……」
陽介のTシャツを引っ張って、背中に額を押し付けた。
涙が雨と交わっては、落ちた。
「ごめんね……」
陽介が崩れるようにその場に膝を着いた。
陽介は声をあげて泣いた。
雨がかき消しても、かき消しても、
泣いて、泣いて、泣いた。
あたしは自分の力いっぱいで、
自分のすべてをその腕に込めて、
陽介を抱きしめた。