きみの声がきこえない
「本当はさ、
きっと誰もが持ち合わせてる能力なんじゃないかな?」
「え?」
「だけどきっと皆、気付かないフリをしてる。
その力をみんなが発揮すれば、きっと誰も苦しむ人なんていなくなるよ。
一人ぼっちなんていなくなる」
「そっか。そうかもしれないね」
こうして目の前で秀くんが、
あたしを支えてくれていること、
お母さんがあたしを心配して秀くんに
陰で様子をきいていたこと、
あたしは一人ぼっちなんかじゃないこと。
そんなことをあたしはちゃんと知ってるんだ。
あたしの能力が
本当に神様から与えられた超能力だったのか、
それともあたしの思い違いだったのか。
こわいけど、
幻聴だったのか、妄想症だったのか、
思春期独特のなんちゃらだったのかは分からない。
分からないけど、あたしは成長した、
そういう風に思う。