あたしが見た世界
「ナツー、おまえはどーすんだ?」
「…シュン兄。…………何が?」
急に話しかけられて、しかも主語がない。
何のことか意味不明だ。
「え?ホラ、あの、暴走族の話」
あぁ、その話か……。
「入る」
「早っ」
シュン兄は驚いた顔をした。
大袈裟に。
「……なぁ、ナツ。」
ふと、シュン兄が珍しく真剣な顔をする。
「……何だ?」
「…おまえ、何に縛られてんだ?煌は、俺らの親みたいなモンなんだぞ?」
「……何が言いたい?」
シュン兄は「フゥ…」と、ため息をついた。
「『煌にいちいち許可を求めるな』って言ってんの」
「………」
「ただ、任務のことは別だ。ナツ、おまえは人形でもないんだぞ?」
「…………」
違う…………。
あたしは、血を被った人形だ。
心など、とうの昔に無くした。