ご主人様に首ったけ!
霧様は、いつも私が鞄を受け取ろうとすると大丈夫、と言って断ってしまわれなんと先週1週間は霧様に負けっぱなし(?)。


今週こそは!と思って霧様の鞄に手を伸ばし、掴もうとしたけれど……。


「本当に大丈夫だから」


と、やっぱり敗北。

あっさりとかわされてしまった。


霧様……。

私のお仕事を取らないでくださいぃ~っ。


「それより露、僕の部屋に来てくれないかな?」

「霧様?」


霧様は私の前で立ち止まると、改まってそんなことを申された。


何やらちょっと意味ありげな誘い。
どうしたんだろ?


「すぐに来て欲しいんだ。待っているよ」

「はい……。では、すぐに伺わせていただきます」


私は通りすぎる霧様を見送りながら返事をしたものの、いつもとどことなく様子の違う霧様に疑問を感じていた。


そして、自分の手の中にも……。

はぁ、私、結局今日も手ぶらじゃん……。

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