ご主人様に首ったけ!
「霧様?露でございます」


霧様がお部屋にお戻りになっている間に私はお茶の準備をし、トレーを持って霧様の部屋へと向かった。


「露?開いているから入っておいで」

「失礼いたします」


軽くノックをして返事を待つと中から霧様の声が聞こえ、私はトレーに乗っているカップを落とさないよう入室した。


「霧様、お茶をお飲みになられますか?」

「ああ、準備してくれたんだね、ありがとう。
そこのテーブルに置いておいてくれるかな」

「かしこまりました」


制服のままベッドに座っている霧様の側に歩み寄り、そのお言いつけどおり私はサイドテーブルにカップを置いて霧様に向き直ると。


「露、こっちへおいで」

「でも……」


示されたのは霧様の座るベッドの隣。

霧様がお休みになられるところに座るなんて……っ。


そんな恐れ多い事出来ませんっ!


「大丈夫だから。おいで」

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