ご主人様に首ったけ!
そういいながら霧様は私の髪に、額に、こめかみに、鼻に、頬に……ゆっくりと唇を落とされていった。


そして最後には……。


「それから……この小さくてつやつやの唇も……」


霧様のきれいな指先で私の唇をなぞられ、ゆっくりと霧様の顔が間近に迫り唇が重ねられた。


「んっ、き、り……さまぁ……っ」


止める間もなく、唇をふさがれ私は小さく呻く。


わずかに開いた唇の中に、霧様の舌が侵入され口内を蹂躙する。


その舌技に翻弄される事十数秒。


ようやく唇が離されたときには私は、ただぽーっと霧様を見つめる事しかできなかった。


「き……さ、ま……ぁ」

「ふふ、僕はね、露の全てがかわいいと思っているんだよ」

「霧様……」


霧様が私の全てをかわいいとおっしゃってくれた……。


それだけで、天にも昇るような気持ちになる。


梳くように髪を撫でられ、その心地よさに私はうっとりしながら目を閉じた。


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