ご主人様に首ったけ!
「……っ。
それは、私のようなメイドが好きになってはいけないような高貴なお方だから……」


切なく霧様を見つめたまま、私の胸の内を正直に話した。


そして、霧様も私のその言葉でようやく理解をしてくださったのか、驚きのまなざしを私に向けてきた。


「露……。
そうか、露は忠誠心が強いんだね。でも安心して?今この部屋には誰もいないから誰に
も聞かれることはないよ?」


だから言ってごらん?


そう甘く、とろけるように耳元で囁かれてしまっては霧様の甘い暗示に掛けられたも同然……。

導かれるがまま、私は口を開き……。


「さあ、露?」

「……り……ま……」

「ん?」

「き、り様を、心よりお慕い申し上げております……」

「ふふ、よく出来ました」


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