ご主人様に首ったけ!
「そう、ならいいんだ。
ああ、もうこんな時間か。露と話しているとすぐに時間が過ぎてしまうね」


霧様は腕時計に目を向けると、ジャケットを羽織り、席を立たれた。


それに従うように、私も霧様のカバンを手に取る。


「ありがとう露。でも本当にそんなことしなくても……」

「いいんですっ!
これが私のお仕事です」


私の手からカバンを奪い返そうとする霧様の腕からカバンを隠すように抱え、霧様を玄関まで促した。


「……それじゃあ、行ってくるね」

「はい、お気をつけていってらっしゃいませ」


カバンを霧様に渡し、玄関前で深々と頭を下げる。


霧様は軽く手を振ってくださり、玄関に背を向け家を出て行かれた。


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