ご主人様に首ったけ!
霧様の突然のその言葉に私は状況が把握できない。


だって霧様は私をかわいがって下さるけれど、明確な言葉をくださった事はない。


それなのに、私と霧様が恋人同士……?


まさか、そんな……!


「……それとも、この間露が言っていた事は嘘だったの?」


そして霧様は私のそんな反応に悲しい表情を浮かばせた。


「……っ、いいえ、嘘なんかではありません!!
あの時お伝えした私の気持ちは本当でございます!ただ……」

「ただ?」

「霧様が……」

「僕?」


私が霧様をお慕いする気持ちを疑われたくなくて、ついそんな事を口走ってしまう。


そしてそのまま私はそれまで不安に思っていた事を霧様に正直に話した。


「あの時、霧様は私をかわいくて仕方がないとおっしゃってくださいました」

「うん」

「でも……。
それだけでは霧様の御心が分からなくて……」

「どうして?」

「零さんも、綺ちゃ……母も、霧様は私のことを気に入ってくださると言ってくれます」

「うん。その通りだよ」


霧様は私の話を短い返事で答えながら、微笑を向けて聞いてくれている。


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