ご主人様に首ったけ!
牧も霧様の姿を捉えたようで、胸の前で手を組みながらうっとりしている。


知ってる。
牧、私知ってるんだ、東條霧様のこと。


だって霧様は私のご主人様で、大好きな大好きな……恋人だから。


でも、どうしよう……。

やっぱり、霧様ってこんなに人気者だったんだ……。

てゆーか、想像以上かも。


たった2ヶ月なのに、1年生にまでこんなに騒がれるなんてさすがだなぁ。


ってゆーか、こんな状況じゃ出て行きにくいよーっ。


しかも、窓際に近い席だから入り口から離れているし、人垣はすごいし。

まして、出て行ったところで注目を浴びるのは必須……。


ど、どうしよう!?

なんて思っていると、その歓声の中から私の耳に霧様の声が届いた。


「ね、今日編入してきた春日露はいるかな?」

「え!!?」


きっとその群れの中にいたクラスの子に聞いたんだと思う。


私の名前が出された瞬間クラスのみんなが一斉にこっちを向いて、一瞬にして霧様の前の人垣が退けた。


開いたところから霧様と目が合い優しく微笑まれ、いつものように、でも少し大きめの声で私を呼んでくださった。


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