ご主人様に首ったけ!
「なーんてね!
ちょっとがっつきすぎたかな~」

「へ!?」


困りに困りすぎて頭を抱えていると、上からかかっていた重力が軽くなり、泉の顔を見てみるとてへっと舌を小さく出していた。


「露が言いにくいんだったら言わなくていいよ!」

「そうそう!
無理強いして嫌われたくないもんねっ」

「みんな……」


みんなのその優しさに、胸が熱くなる。


私だって話したくないわけじゃない。

ただ、霧様に迷惑がかかってしまったら……って思うとうかつには口にできない気がして……。


みんなの優しさに感謝しながら、いつか絶対に皆には私の口から霧様とのことを話す――……そう心に決めた。


「でも露、気をつけたほうがいいよ」

「なにが?」


今度は綿貫茗が声を潜めて深刻そうな顔をして話してきた。


「上級生たち」

「!?」

「年齢が上な分東條先輩にも近づきやすいはずだし、気性の荒い人とかが多いみたいだから」


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