ご主人様に首ったけ!
そして事件(?)は、6月が終わりとなる頃――……。


見事に牧たちの予想が的中し、昼休み、私は上級生に呼び出されていた。

学期末のテスト期間真っ最中だというのに、呼び出されちゃうなんて……。


……お勉強はしないんですか?


なんて、のん気な事は言ってられなくて。

呼び出してきた人の腕の刺繍は2本。
霧様と同じ、2年生だ。


私が一人になったところで声を掛けてくるところを見ると、結構な計画性を感じる。


それも、人気の少ない裏庭。

……なんて古典的なの?


相手は3人。

私を壁際に追い詰め、3人とも腕を組んで私をにらみつけてきた。


……ここは睨み返すべき?


なーんてのん気に思っていると、真ん中にいる背中まで伸びる髪を金色に染めて、頭の上のほうで二つ結びにしている先輩が、一歩足を踏み出しかなりの上から目線でこれまた古典的なことを言ってきた。


「東條様に近づかないでよ」


……東條、様!?


霧様、学校でも様をつけて呼ばれてるんですか?


って、今の問題はそこじゃなくて。


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