ご主人様に首ったけ!
「露ちゃん、霧が帰ってきたよ。
一緒においで」

「あ、はい……っ!」


霧様が帰ってくるまで、更衣室代わりの部屋で着替えを済ませてくつろいでいたところに零さんが霧様の到着を教えに来てくれた。


い、いよいよだ……。


緊張の足取りで、私は零さんと一緒に廊下を歩く。


そして、玄関までたどり着くと……。


「あれ?霧は?」

「それが、すでにお部屋の方へ……」

「まったく、本当にあの子は。
露ちゃんごめんね、霧の部屋まで行こう」

「あ、はい……」


どうやらすれ違ってしまったみたいで、霧様はもうすでにお部屋に向かわれいたということだった。

さすが、これだけ広い家だとこんな事もあっちゃうんだ……。


元来た道を戻るように、私はまた零さんのあとをついて歩く。

そして、キレイに彩られている扉の前で零さんは止まると、扉をノックした。


「霧?僕だよ。
中に入ってもいいかな?」


「……どうぞ」


少しの間を空けて、中からキレイに透き通るような男の子の声が聞こえてきた。


零さんは扉を開くとそのまま中に入っていったけど、私は初めて会う主となる人との対面への緊張でその場から動けず、入り口で立ち止まってしまった。

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