ご主人様に首ったけ!
私のその言葉で霧様が一瞬言葉を詰まらせ、そしてすぐに、


『ごめん、露。
心配させたね』

「霧様……。
いえ、霧様がご無事で安心しました」

『これからすぐに帰るから。
待っていて』

「はい、お待ちしております……」


電話が切れると全身の力が抜け、くず折れるようにしゃがみこんだ。


「よかったぁぁ……」


携帯を胸に握り締め、再び涙を零す。

たった数時間なのに、会わないだけでこんなにも不安になる。


それほどまでに私にとって霧様は大きな存在となっているんだ……。


あっ、大変!

学校からここまでは10分くらいだからもうすぐお戻りになるはず。

霧様が帰ってくる前に、お出迎えしないと!


そう思い立ち涙を拭うと鏡で全身をチェックしてから、玄関へと向かった。


玄関前で、そわそわしながら霧様のお帰りを待つ。

こうやって学校からお戻りになる霧様をお待ちするのは久しぶりだもんね。


前は当たり前だったけど今は一緒に帰ってきてるから、なんだか新鮮な気分かも。


それからほどなくして玄関が開き、霧様の姿を確認するなり嬉しさのあまり霧様に飛びついてしまった。


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