ご主人様に首ったけ!
「あの、霧様……。
お話したい事が……」

「ん?わかった、じゃあ部屋に行こうか。
露の紅茶も飲みたいしね」

「はいっ」


霧様からカバンを受け取ると、私たちは霧様の部屋へと向かった。


話したいこと――。
それは、聖ちゃんとのこと。

ちゃんと霧様には知っておいて貰おうって、帰ってきたときから決めていた。


部屋に着き、霧様が着替えを済ませている間に私は約束の紅茶の準備。


お湯はすでに沸かしておいたから、すぐに霧様の元へとお届けする事ができた。


しかも、今日の出来は今までで一番いいかもしれないっ。


色も、香りもすごくいい感じに仕上がってるし!

霧様、なんて言ってくれるかな?


「ん、ほんとだ、すごく美味しくできてるよ」

「ほんとですかっ!?」


やったぁ!


今までも霧様は私の煎れたお茶を美味しいって言ってくださったけど、自分の中で満足のいったものを褒められるとすごく嬉しい!


「なんだか、すごく優しい味がする」

「優しい味……?
ふふ、霧様それはどんな味なのですか?」

「んー、なんだろうね」


私がちょっと意地悪をしてそう言うと、霧様ははにかんだ笑顔をお見せになりながら、再び紅茶を口へと運んだ。


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