ご主人様に首ったけ!
「霧様って、お坊ちゃんなんでしょ?」

「!!」

「きっと武道なんてやった事ないよね。
そんな霧様が俺とやりあったらどうなるかなぁ?」

「……」

「あのきれいな顔が不細工になっちゃうかもねー。
あ、腹に風穴とか開いちゃったりして」


おかしい。
おかしいよ、神くん……。

なんでそんな怖い事を平気で言えるの?


「それでもいいの?」

「……っ」


可笑しそうに神くんは笑って言ってるけど、その目は全然笑ってなくて……。

怖いほどの視線に見つめられて、私はなにも言えなくなってしまう。


「自分のせいで殴られたなんて大事な霧様に知られたら露、フラれちゃうね」

「……っ。
私にどうしろって言うの?」


従いたくなんかないのに、そう聞いてしまっている自分がすごくいやだ…。


私は何よりも霧様が大事。

だから、少しでも危険な目にあってほしくないの……。


「ん、だから東條霧と別れて、聖と付き合って。
もちろん、俺に唆されたなんて言わないでよ?」

「……」

「別に、東條家を出ろなんて言ってるわけじゃないし。
大好きな霧様とは一緒にいられるよ?」

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