ご主人様に首ったけ!
同じように差し出された神くんの指に、かすかに指を絡める。


「約束、破ったらどうなるか分かってるよね?」


絡めた指を解きながら、笑顔を向けられ黙って頷いた。


そして、神くんは片手を挙げてきびすを返すとそのまま何事もなかったかのように私の前から去っていった。


彼の姿が見えなくなると私は糸が切れたマリオネットのようにその場に崩れ落ち、今あった出来事を思い返す。


なんで?
なんでこんな事になってしまったの?


こんな事誰にも相談できない。

してしまったが最後、きっと神くんは霧様を……。


さよならをする振りをして、シカトする……?

ううん、そんなことしたって神くんは……。

なら、やっぱり……。


「……っ、ぅ、あ……っ」


堪えていた涙が頬を伝い、抑えていた感情があふれ出す。


霧様、バカでごめんなさい……。

他に、どうしても霧様をお守りする方法が見つからないんです。



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