ご主人様に首ったけ!
まだ別れを伝えたわけじゃないのに、その時を思うだけでとめどなく涙が溢れてくる。


霧様……。

霧様……っ。


これからさよならを言うであろう、愛しい人を想い、私はただひたすら涙を零し続けた。


でも、そんな私をあざ笑うかのように無情にも時は過ぎ、昼休み終了のベルが鳴り響いた。


……どうしよう。

こんな顔じゃ、教室になんて戻れないよ……。


きっと、すごく目が腫れて化粧も落ちて不細工になっていると思う。


それに、今は授業なんか受ける気にならない。

こんな顔見せてみんなに心配かけたくないし、サボっちゃお……。


「はぁ……」


校舎の壁にもたれかかり、うずくまる。


目を瞑ると、そこに浮かんでくるのはやっぱり霧様の笑顔ばかり。

なのに、私、本当に霧様と別れられるの?


でも、それをしなければ霧様は……。

霧様にすごく逢いたいのに、会うのが怖いよ……。


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