ご主人様に首ったけ！

いつものように、入り口付近の席で談笑していた牧と泉が私の姿を捉えるなり、声を掛けてきてくれた。


でも本当のことなんて言えなくて、嘘をついてしまう。

ごめんね、牧、泉……。


「ねぇ、川崎くんなんだって!?」


牧からの質問。

そりゃ、クラスまで来て呼び出しなんて誰だって気になるよね……。


「あ、別になんでもないよ……」


目を見つめられると嘘を見透かされてしまいそうで怖かったから、分からないように視線をずらしながら答える。


「なにー？
その意味深な答えは」

「別に意味深だなんて……
ただ、久しぶりに会ったんだし、中学の時のみんなで食事しようって……」


本当にそんな話だったらよかったのに……。

そんなことを思いながら、嘘にまた嘘を重ねる。

なんで？
なんで牧たちに嘘をつかないといけないの？


「そうなんだぁ～、あたしたちてっきり川崎くんとなにかあったのかと思っちゃったっ」

「え……？」