ご主人様に首ったけ！

「違うの……。
ごめん、牧、泉。二人は悪くないよ……」

「露？なにかあったの……？」

「……ううん、なんにもないよ。
みんなも、びっくりさせてごめんね！」


私たちに注目するクラスメイトたちに聞こえるように、努めて明るく叫ぶ。

そう言っても、まだ何人か『大丈夫？』、『なにかあった？』と声を掛けてきてくれる子もいたけど、笑って『大丈夫！』と返した。


「露……なにかあったらいつでも言ってね？」

「あたしたち、頼りないかもしれないけど、相談に乗るから」

「牧、泉……。
ありがとう。でも、本当に大丈夫だから……」


あんなに強く怒鳴ってしまったのに、こんなにも優しく声を掛けてきてくれる二人の優しさに再び涙がこぼれそうになったけど、無理に笑顔を作ってそれをなんとか飲み込んだ。

2人に小さく微笑むと、そのまま自分の席へと戻った。

それと同時に、先生も教室に入ってきて、6時間目の授業が始まった。