ご主人様に首ったけ!
隣ではくすくすと零さんが笑う声が聞こえてくる。

えーん、恥ずかしいよぉ~。


未だに顔を上げられずにいると、再び頭上から声が聞こえてきた。


「……名前はなんて言うの?」


そんな労わるような問いかけに、私は恥ずかしさも忘れて、顔を上げた。


「……っ」


そして、初めて見る私の主人となる霧様の顔を見て、私はしばらくの間心を奪われてしまった。


本当だぁ……。
綺ちゃんのいったとおりだぁ。


霧様の顔は、本当に整っていて、類まれなる美形といった感じだった。

色白の肌に、微かに茶色がかかった耳にかかるほどのさらさらの髪がなびく。

長いまつげに、ふっくらしているけれど決して太ってなんか見えない、きれいな頬。

色鮮やかにかたちどられた、唇は、きれいな弧を描いて微笑んでいた。




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