ご主人様に首ったけ!
「そう、気をつけてね」

「いきましょう、霧様……」


不敵な笑みを浮かべられると、それ以上何かを言われるのが怖くて、霧様に隠れるようにしながら、神くんの前を通り過ぎようとした。


なのに……。


「あ、ねぇ露!」

「……!?」


神くんに呼び止められてしまい、霧様には分からないように彼を睨み付けながら振り返る。


「約束。
忘れてないよね?」

「!!」


ちらりと霧様に目を向けて、私に戻したその視線は、この先の誤魔化しがきかないことを突きつけるような冷たく鋭いものであった。


「……っ
わかっ……る」

「そう、ならよかった。じゃあね、露」


神くんはひらひらと手を振り、私たちが去るのを見続けていた。


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