ご主人様に首ったけ!
違う、違うの……っ。

霧様以外好きじゃない……っ。

他に好きな人なんていません……っ。

別れたくありません……っ。


なのに霧様が傷つくのが怖くて、私は気付かないかもしれないほど小さく頷いてしまった。


「……さっきの彼?」

「ちが……ぃます」

「じゃあ、誰?」


霧様のお顔を見るのが怖くて俯いたままでいるけれど、霧様のお声は怒っているわけでもなく、責めているわけでもなく、ただ淡々とした口調で質問を続けていく。


「その双子の弟?」

「……」

「露、はっきり言って」

「はい……」


ぎゅっと目を瞑り、霧様の質問に答える。


霧様……。

今、なにを思ってらっしゃいますか……?



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