ご主人様に首ったけ！

「どうしたの？」

「え!?ぅあっ!?あの、私っ、か、春日っ露、っと申しまっす!!」


再び彼に問いかけられて、我に返った私は、またしても変な事を口走ってしまった。

うあぁ～、また“まっす”って言っちゃったよ～。


「つゆ？」

「は、はいっ！」


彼に名前を復唱されただけで、心臓が飛び跳ねてしまう。


「ふふ、かわいいね。
緊張している？」

「え、あ……。
すみません……」

「いや、謝らなくていいよ。
ねぇ、つゆ、とはどういう字を書くの？」


思いがけない霧様の質問に、少し戸惑ったものの、なんとか心を落ち着かせて、言葉を紡ぎ出す。


「えっと、雨にみちと書いて露……でございます」

「そうなんだ。なら、露？
僕の名前は知っている？」

「あ……はい、東條、霧……様」


霧様の穏やかな口調に、がちがちだった気持ちが少しずつほぐれて、霧様が望む言葉を口にする。


よし、なんだか、落ち着いてきたみたい。