ご主人様に首ったけ!
やっぱり霧様は他の誰も敵わない、素敵な方です……。


ごめんなさい、霧様。

本当に、ごめんなさい……。


「……ねぇ露、この服は露が持っていて」

「え…?」


霧様が近づいてくるのを感じ、顔を上げるとさっきまでの悲しそうな表情はなくて、ほんの少しだけ微笑みながらそう言ってくださった。


「これは、露にあげたものだ。他の誰のものでもない。
いらなければ……捨ててくれて構わないから」

「……っ」


なんで……っ、なんでそんなに優しい言葉を掛けてくださるのですか……?


泣かないって、決めたのに……。


私が泣いてしまったら、何にも意味がないのに……。


「……っく、ぅっ……」

「はは、なんで露が泣くかなぁ。
ほんと、泣き虫なんだから」

「き、りさまぁ……っ」


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