ご主人様に首ったけ!
☆38☆ 思い出を胸に、立つ
次の日。

いつの間にか眠ってしまっていた私は、差し込む朝日を浴びて重たいまぶたを開いた。


時計を見ると、まだ目覚ましの鳴る2時間前の5時。


学校までにはまだ早いから、もう一度寝ようと思ったけれど、もう眠れない。


「……っ」


思い出してしまったから――。

昨日のことを……。


昨日あれだけ泣いたのに、思い出すだけでまた涙が溢れ出てくる。


霧様……。


あっ――……。

霧様が起きてしまう前に、荷物をまとめてここを出ないと……。

もし、霧様に出会ってしまったら私は――……。


重たい体を起こして、実家から運んできた荷物を再び大きなバッグにつめていく。


ひとつひとつ。


霧様を想いながら。

霧様との思い出を胸に刻みながら……。



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