ご主人様に首ったけ!
こんな身勝手な私に、そんな事を言ってくださるのですか?

理由も言えない私を、許してくださるのですか……?


そんな零さんの優しさに、胸が熱くなって……。


「ほらほら、露ちゃん。泣かないの」

「ふ、えぇ……っ」


泣かないって決めてたのに。

ちゃんとさよならするって、決めたのに……っ。

やっぱり、つらい。さよならなんて、したくないよ……。


「零さん、たくさんお世話になりました。
私、東條のおうちの来れてよかったです」

「そっか、よかった。
露ちゃん、初めは乗り気じゃなかったからかわいそうなことをさせてしまったと思っていたんだ」

「そんな事ないですっ!
零さんも、この家のみんなも……霧様も。
みんなみんな優しくて、私のもう一つの家族でした。大好きです……」

「そう。そう言ってもらえるとすごく嬉しいよ」

「本当に、ありがとうございました」


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