ご主人様に首ったけ!
「うん、当たり。
僕たち名前が似ているね」

「え……?」


唐突な霧様の問いかけに、一瞬何を言われたのか分からなかった。

きょとんとする私を見て、霧様はまた、くすくすと笑いながら、その意味を教えてくれた。


「ほら、僕が“きり”で、君が“つゆ”。
どちらも形は違うけど、水滴を意味する」

「あ……」


他人を寄せ付けないという霧様が、私との共通点を見つけてくれた事がすごく嬉しくて、私は思わず破顔してしまう。


「うん、露は笑ったほうがかわいいよ。
これからよろしくね、露」

「はっ、はいっっ!!
こ、こちらこそ、よろしくお願いいたしますっ!!」


向けられた笑みに、私は即倒してしまいそうになるのをぐっとこらえ、これでもかってくらい深々と、これから仕える主のために頭を下げた。



< 29 / 374 >

この作品をシェア

pagetop