ご主人様に首ったけ！

起きたのも早ければ、家を出たのも早かったからまだ学校を前にしても、ほとんど人はまばらで数人の学生が歩いているくらいだった。


なのに……。


「おはよう、露。
今日は早いんだね」

「……っ、神くん……」


なんで？

なんでいるの？


一番会いたくなかったのに――……！


「……何か用？」


昇降口の前に立っている神くんの前を素通りし、上履きを替えようとしていると、背後からさらに話しかけられた。


「冷たいなぁ。
ただ俺は昨日はどうしたのかなぁって思って声を掛けただけなのに」

「……！」

「ちゃんと別れを告げてきた？」

「……」


面白そうに聞いてくる神くんに軽い殺意が芽生えてくる。

なんでそんなに楽しそうにしているの？

ちっとも楽しくなんかないよ……っ。


「どうなの？」

「……」