ご主人様に首ったけ!
信じらんない……!

こんな人が本当に、聖ちゃんの双子のお兄ちゃんなの!?


「軽蔑してくれても構わないよ。でも、俺は俺の意思を貫くから。
じゃあね、露」

「……っ」


それだけ言うと、神くんは私の後ろを通り過ぎようとした。

でも、すぐに振り返って……。


「あ、そうそう。
露、霧様と別れただけじゃ意味ないからね。ちゃんと聖に告白するんだよ」

「……」


神くんのその言葉に私はなにも返事をしなかったけど、神くんはそのまま私の前から去っていった。

こんなにもあっさりと去ってしまうのは、きっと、わかってるからだ。


私が、神くんに逆らわないってこと――……。


やりきれない思いを抱えながら、私は教室へと向かった。



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