ご主人様に首ったけ!
「……」

「露?なんだよ、黙っちゃって」


すごく重たい沈黙。

なにも知らない聖ちゃんに、嘘の告白をするなんて気が引けるけど……。

でも、神くんがいる限りなにも言わないわけにはいかない。


だから……。


「聖ちゃん、あのね……」

「ん?」

「私と、付き合ってほしいの……」

「……はいぃ!?」


嘘をついているという罪悪感と、自分の無力さに苛まれて俯きながら小さく呟いた。


ごめん、聖ちゃん……。

ごめんね……。


「ちょ、ちょっと待て!?
お、おま……っ、なに言ってんの!?」

「……だから、私と付き合ってって言ったの」

「なんでっ、なんでそんなこと……っ!
第一、お前、あのご主人様は!?」

「……」

「別れたんだよね、露」

< 296 / 374 >

この作品をシェア

pagetop