ご主人様に首ったけ!
「なにがあったのかは分からないけれど……」

「……?」

「大切なのは自分が何を大事にしたいか、じゃないでしょうか」

「!!」


蓮さんはなにも聞かずに、ただ淡々と話してくれる。

私も何かを言うわけでもなく、ただ黙って連さんの言葉を聞いていた。


「他人にも嘘をつかず、まっすぐに進むこと。
簡単そうで難しいことですが、そういう気持ちを大切にしていきたいですよね」

「蓮さん……」


そうだよね……。

やっぱり、うそはいけないよね。

わたし、ただ霧様が傷つくのが怖いからってだけで、なにもしようとしなかった。

こんな誰も幸せにならない嘘をつかなくても、もっといい方法があったかもしれないのに……。


私、バカだなぁ。

今頃こんな事に気付くなんて。


ちゃんと言わなくちゃ。

こんな事やめるって!

神くんの言いなりになんかならないって!!


こんな嘘をつかないでも霧様は私が……っ。


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