ご主人様に首ったけ!
部屋の前で、大きく深呼吸をしてから、叩いてしまうのがもったいないようなその扉を少し控えめにノックした。


「どうぞ」

すると中からすぐに零さんの声がして、私はそのまま扉を開き、中へと入る。


「やあ、露ちゃん。わざわざ呼びたててしまってごめんね」


零さんは私の姿を確認するなり、眩しいくらいの笑顔を見せてくれて、ソファへ座るように促してくれた。

「うん。
やっぱり似合うね、メイド服。かわいいよ」

「え、あの……」


勧められたソファに座るなり、そんな事をいわれてしまい返答に困ってしまう。

そんなこと言われると、恥ずかしいです……。


「はは、そんなか固まらなくてもいいのに。
そうだ、今日はお疲れ様。大分緊張していたみたいだね」

「あ……っ。すみません」

「いや、いや。謝らなくていいんだよ。誰だって初めは緊張するものだよね」


先ほどの醜態を思い出し、私は居たたまれなくなって俯いてしまったけど、零さんはあははと笑って、頭を上げてというように、私の肩を軽く叩いてくれた。


「いや~、それにしても驚いたなぁ」

「ふぇ!?」

突然けらけらと無邪気な笑みを浮かべた零さんに驚き、私は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。

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