ご主人様に首ったけ!
住み込みで働くようにもなって、一緒の学校にも通うようになって、僕はすごく楽しかったし、嬉しかった。

そんな感情を僕が持てる日が来るなんて思っていもいなかった。


露と出会えて、僕は――僕の心は大きく変化していったんだ。


それなのに……。


「僕の事嫌いになった?」

「違います!」

「なら、なぜ?
他に好きな人が出来た?」

「……」

「そうなんだね?」


何を聞いても歯切れの悪い露の返答。


再度確認するように問いかけたけど、望んでいるのは否定の言葉。

今のは冗談ですって、いつものあの笑顔で笑って言って欲しかった。


だけど、露は小さな小さな声で……。

かき消されてしまいそうなほどの小さな声で、


「はい……」


と、それだけ呟いた。
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