ご主人様に首ったけ!
「露の気持ちは変わらないというのは嘘だったの?」

「違います……っ!」

「ならなぜ?」


醜い……。

こんなにも自分が嫉妬深く、未練がましかったなんて。


露が困っているのが分かっているのに、その真意を探ってしまう。

口調を優しくても、露を責めるような事ばかりが口をついてしまう。


「言えない事?」

「は、い……。
ごめんなさい……っ」


露は大きな瞳に涙をたくさん溜めて、何かを堪えようとしている。


なぜそんなに苦しんでいる?

なぜそんなにつらそうな顔をしている?


「霧様、これもお返しします……」

「!!」


渡されたのは、僕が以前プレゼントした特注のメイド服。

丁寧にたたまれて、僕の前に差し出された。


まさか露は……。


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