ご主人様に首ったけ!
「露、ここを出て行くつもり?」


こんなに思いつめた表情をして、プレゼントしたものを返されたのならそれ以外考えられない。


「そのつもりです」


ああ、露は本気なんだ。


せっかく手に入れたかわいくて、愛しい、純真無垢な僕の露……。


露に出会って僕の心は大きく救われた。


渡したくない、誰にも――。

僕だけの露でいて欲しい。


だけど、それは僕のわがまま。

露が決めた事に口出しをする権利なんて、僕は持っていない。


でも、一つだけ……。

一つだけわがままを言っても許されるだろうか?

叶わないと分かっている僕の小さな願いを口にしてもいいだろうか?


「……だめだ、と引き止めたら?」

「……!
ごめんなさい……」


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