ご主人様に首ったけ!
「え!?なにがですか……?」

「いや、霧だよ。
まさか、本当に露ちゃんのことを気に入るなんて」

「え……?」


零さんのその言葉は、私の思考を充分悩ませた。

だって、たったあれだけの時間……、しかも、零さんは途中でいなくなっちゃていたのに、なんでそんな事が分かるの?


「僕はね、霧のあんなに楽しそうな表情を見たのは本当に久しぶりなんだ。
彼はどことなく冷めているというか、他者を寄せ付けようとしないからね。でも、そんな霧がすごく楽しそうに露ちゃんと話していたから、途中で退室させてもらったんだ」

「……」

そうだったんだ……。


でも、そこまで言われても、私にはそれがどういう意味か分からなかった。

私が受けた霧様の印象は、優しくて、気を遣ってくれて、意外に無邪気なところがあるのかも、なんて勝手に思っていたけれど……。


長年一緒にいたお父様である零さんに言わせると、私の印象とは全く正反対の人間……ということだよね?

< 33 / 374 >

この作品をシェア

pagetop