ご主人様に首ったけ!
――霧様へ

勝手に別れを告げ、勝手に出て行ってすみません。
でも、霧様に会ってしまったらどうしても別れられなくなってしまうような気がして。
こんな勝手なメイドをお許しください。
この3ヶ月、霧様と一緒に過ごす事ができてとても楽しかったです。
霧様と過ごした日々にこと、絶対に忘れません。
今まで本当にありがとうございました。
さようなら……。
春日露


「……っ」


簡単な手紙だった。


でも、露の僕に対する想いが充分詰まっているような、そんな手紙で僕の目頭は熱くなってくる。


これで本当に露は去ってしまったけれど、不思議と永遠の別れじゃないような気がしていた。

学校が同じだからとか、家が隣だからとかそんな簡単なものではなく、どこかでまた露と繋がっているようなそんな気がしていた。


すぐには会えなくても、きっとどこかで――。


そんな期待もこめて僕は露の手紙を丁寧に封筒に戻すと、自室へと戻り机の中へとしまった。


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