ご主人様に首ったけ!
「なにかありましたか?」

「……何かないと来てはいけなかったですか?」

「いえ、もちろんそんなことはないですよ。
さ、どうぞ」

「ありがとうございます」


カウンターを進められると同時に、いちごみるくも目の前に差し出された。

甘いものはあまり得意ではなかったけれど、ここにいちごみるくはすごく飲みやすくて、気に入っている。

ここに来た時は、いつもこれを注文するようになっていた。


「今日はまた一段と物憂いな表情をしていますね」

「は?なんですか、それは」

「いえ、なんでも?」

「……」


ったく、蓮さんは本当に鋭い人だ……。


何もいわなくても、全てを悟っているような、そんな感じがする。


こうしている今、僕の頭にあるのはさっきの露とその彼のこと……。

あの2人のツーショットは思いのほか、ダメージが大きかったようでため息ばかりが出てしまう。



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