ご主人様に首ったけ!
真剣な彼の表情にそれがからかいでもおせっかいでもなく、ただ純粋に真実を知りたい、そんな様子が伺えた。


「別れた理由か。
それは、僕のほうが真実を知りたいくらいだな」

「え?」

「夏休みの前、突然露は僕に別れを告げてきた。
それも、何か思いつめたような顔で……」

「……」

「露が決めた事なら、僕は何も言うのはやめようと思って理由を深く問い詰めなかった」


これ以上、露に苦しい思いをしてほしくはなかったから。

だから、すぐに露の気持ちを受け入れた。


「……俺、露はまだあんたの事が好きなんじゃないかって思うんです」

「……!?」

「露は、俺といても別の誰か――あんたを見ていて……。
いつも辛そうで切なそうな顔をしているんです」


別れる時や昨日見せていたあの辛く切ない表情は僕を想ってのもの――?


「だから俺、なんで露があんたと別れて俺と付き合っているのかが気になって……」

「それで僕のところに……?」

「ああ」


きっと彼も辛く苦しんだ事だろう。


ずっと想っていた好きな彼女と付き合えたと思ったのに、もしかしたらそれは全て虚無だったかもしれないなんて……。

そしてそれを恋敵である僕に相談してくるなんて……。


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