ご主人様に首ったけ!
それまで黙っていた彼が突然可笑しそうに笑い出した。


「先輩はずいぶん創造力が豊かなんですね」

「どういう意味かな」

「先輩の言っていることは全て空想でしかないってことですよ」

「空想、ね……。
でも、こう考える事で全てつじつまが合う」

「ただつじつまが合うというだけでは、真実とは言い難いですよ」


やはり素直に認めることはしない、か……。

彼は余裕の笑みを浮かべたまま認めようとはしない。


ならば……。


「確かにそうだね。
そうだ、彼は知っているの?君が露を脅していたと言う事を」

「彼?」

「君の弟」

「……」

「まさか、自分の兄が自分の好きな女の子を脅して自分と付き合わせていた、なんて知ったらショックだよね」


確信はあるけれど、確証はない。

ならば、自らボロを出してもらうしかない。 


さあ、どうする?


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